家族の国民年金保険料の支払いに贈与税はかからない
「人から人へ財産の移転は贈与」であり原則として贈与税の対象になりますが、「例外として贈与税がかからない財産」が国税庁で定められています。その一つが「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」です。 国民年金保険料は、所得税や住民税を計算する際に「社会保険料控除」という所得控除の対象になるため、税金を減らす効果があります。対象になるのは自身の国民年金保険料だけでなく、生計を同じくしている配偶者や、その他の親族の国民年金保険料の支払いも含めることが可能です。年末調整や確定申告の際には、家族分の国民年金保険料控除証明書を忘れずに提出しましょう。 2022年度における国民年金保険料は1ヶ月当たり1万6590円です。これを世帯主である自営業の父親が配偶者の分を1年間支払ったとすると、1万6590円×12ヶ月=19万9080円の社会保険料控除を受けることができます。 学生には十分な収入がないことを考慮し、国民年金には学生時代の保険料の納付を猶予してもらえる「学生納付特例制度」が設けられています。10年以内に追納することで年金を増やせますが、年金受給まで遠い世代のため現実味がない、就職したばかりで経済的余裕がないなどの理由で、支払わないまま期限を過ぎてしまう恐れがあります。 家族の国民年金保険料を他の家族が支払った場合の「贈与税は非課税」です。その上、支払った家族の「社会保険料控除」として税金を節税することもできます。また、税率が高いほど節税効果は大きくなり、年収が高い年ほどより効果的になるため、現役を引退する前に支払うことをおすすめします。 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合 |