国民年金の追納で加算金が発生するケース
国民年金の追納とは、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例が適用された期間の国民年金保険料をあとから納められる制度です。
保険料の免除・納付猶予や学生納付特例を受けた期間があると、国民年金保険料を全期間納めた場合と比べて老齢基礎年金が少なくなります。そこで、追納制度を利用すると納付済保険料を満額に近づけられ、老齢基礎年金の金額が増加します。
国民年金の追納は、10年前までさかのぼって行えます。しかし、免除や納付猶予などを受けた期間の翌年度から3年度目以降になると、追納保険料に加算金が上乗せされることに注意が必要です。余計な負担を抑えるには、保険料の免除や納付猶予などを受けたあと、できるだけ早く追納をすることを心がけましょう。
加算金の割合はどのくらい?
国民年金追納時の加算金は、保険料の免除や猶予を受けた時点の国民年金保険料額、追納をするまでの経過期間、免除を受けた割合によって決まります。令和4年中に追納する場合の追納保険料+加算金の金額は、図表1のとおりです。
【図表1】
全額免除の追納保険料
4分の3免除の追納保険料
半額免除の追納保険料
4分の1免除の追納保険料
本来の保険料(満額)
平成24年度分
1万5220円
1万1410円
7610円
3800円
1万4980円
平成25年度分
1万5190円
1万1390円
7600円
3800円
1万5040円
平成26年度分
1万5340円
1万1510円
7670円
3830円
1万5250円
平成27年度分
1万5670円
1万1750円
7830円
3920円
1万5590円
平成28年度分
1万6330円
1万2240円
8160円
4080円
1万6260円
平成29年度分
1万6540円
1万2410円
8260円
4130円
1万6490円
平成30年度分
1万6370円
1万2270円
8190円
4090円
1万6340円
令和元年度分
1万6430円
1万2320円
8210円
4100円
1万6410円
※平成23年度以前は10年経過により追納不可。令和2、3年度分は加算金なし
出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」「国民年金保険料の変遷」
最も経過期間が長い平成24年度分をみると、当時の国民年金保険料1万4980円に対して全額免除を受けた月の追納保険料は1万5220円です。上乗せされる加算金は240円で、本来の国民年金保険料のおよそ1.6%となります。
加算金がかかっても追納はお得になるケースが多い
年金を受給する年数などによりますが、加算金がかかっても追納が得になるケースは多くあります。しかし、加算金がかからないタイミングでの追納と比べると、年金の増額効果は低くなります。
例えば令和4年度では、国民年金の全額免除期間が2年間(24月)ある場合、少なくなる年金額は年額約1万9500円です。老齢基礎年金を65歳から亡くなるまで20年間受給すると、累計では約39万円少なくなります。
平成24年度と平成25年度の2年間全額免除を受けて令和4年中にすべて追納すると、追納保険料は総額約36万5000円です。つまりこの場合は36万5000円支払って39万円を受け取ることになり、約2万5000円得になる計算です。
しかし、加算金が発生しないタイミングで追納をしていれば、追納保険料は合計約36万円でよかったはずなので、加算金が発生したことで追納の効果は約5000円分失われたことになります。
少額の加算金でも積み重なると負担が大きくなる
国民年金の追納が遅れたことによる加算金は、保険料1ヶ月分あたりでみると大きな金額ではありません。
しかし、追納する月数が多くなると加算金の総額も積み上がって大きくなり、追納による年金増額のメリットが薄くなってしまいます。また、経過年数にしたがって加算金の金額が高くなることにも注意が必要です。
加算金の負担を抑えるには、家計に余裕ができ次第早めに追納することが大切です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 (责任编辑:)
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