衆議院で与党が過半数を割り込んだことを受けて自民党は国民民主党と政策ごとに協議を進めていくことになりました。国民民主党はいわゆる「103万円の壁」の見直しなどを求める方針で、一致点を見いだせるかが焦点となります。
衆議院で与党が過半数を割り込む中、自民党は、11月にも新たな経済対策を決定しその裏付けとなる補正予算案を年内に成立させたい考えです。
自民党の森山幹事長は10月31日、国民民主党の榛葉幹事長に協力を求め、政策ごとに協議を進めていくことになりました。
国民民主党は、衆議院選挙でも訴えたいわゆる「103万円の壁」を見直し所得税の基礎控除などを受けられる金額を引き上げるよう求めることにしていて、玉木代表も、「まったくやらないということであれば、その時は予算案も法案も通らないということだ」とけん制しました。
ただ、自民党内には、国民民主党の主張どおり引き上げれば国と地方をあわせて7兆円から8兆円程度の減収が見込まれるとして慎重な意見もあり、一致点を見いだせるかが焦点となります。
また、公明党も11月1日、国民民主党と幹事長会談を行うことにしています。
石破内閣 発足から1か月
こうした中、石破内閣は、11月1日で発足から1か月になります。
特別国会で行われる総理大臣指名選挙では、1回目の投票で決着がつかず石破総理大臣と野党第一党の立憲民主党の野田代表との決選投票になる見通しです。
国民民主党は決選投票でも野田氏ではなく、玉木氏に投票する方針を決めていることなどから、石破総理大臣が最も多くの得票を得て再び総理大臣に選出される公算が大きくなっていて、野田氏もみずからの選出は厳しいとの認識を示しています。
石破総理大臣は、再び選出されれば衆議院選挙で議席を失った牧原法務大臣と小里農林水産大臣を交代させ速やかに新たな内閣を発足させることにしています。
一方、立憲民主党は、小川幹事長が国民民主党の榛葉幹事長と会談することにしていて、自民党の政治とカネの問題を受けた、政策活動費の廃止をはじめ、政治改革を進めていくことなどで連携していく方針を確認したい考えです。
「年収の壁・103万円の壁」とは
「年収の壁」とは、働いている人たちが税や保険料の支払いによって手取り収入が減ってしまうなどとして働く時間をみずから調整する、いわば“働くことの制約”となっている課題を表現しています。
年収の壁には、税金に関わる「103万円の壁」があるとされています。
基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税が発生することから、年収がこれを超えないように、働く時間をみずから調整することにつながっています。
こうしたなか、国民民主党は衆議院選挙の公約で基礎控除などの合計をいまの103万円から178万円に引き上げることを掲げました。
いわば所得税の負担を軽くすることで消費などの経済の活性化につなげるねらいがあるとしています。
その一方で、実施した場合の税収への影響も指摘されています。
政府は、国と地方を合わせた税収の減少分は7兆円から8兆円になると試算しています。
また、所得税は課税所得が大きいほど適用税率が高くなるため、控除が拡大すれば減税額は高所得者ほど多くなります。
さらに、控除後の所得金額などに応じて負担や給付水準が変わる社会保障をはじめとする各種制度への影響がどのようになるのかも論点となりそうです。 (责任编辑:)
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