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2019年3月21日 ニューヨーク発 世界は不公平に満ちています。貧しい国や家庭に生まれる赤ちゃんの人生や将来の展望は、裕福な子どもとは全く異なるものとなっています。どの社会においても、以前からの不平等は解消されることなく、さらに新たな側面においても不平等がますます広がっています。「人間開発報告書2019」は、人々の幸福に最も影響する不平等の形態や、その背景について理解することを目的としています。 「多くの人が不平等を非常に重要な問題として捉えているが、なぜ問題なのか、またそれに対して具体的にどうすれば良いのか、ということに対しては十分な議論がなされません。不平等がどういったものかを説明するため、より正確に測定し、また世界中で起きている経済、社会や環境の変化を考慮した時にそれがどのように変化するのか深く理解する必要があります。そうすることでのみ、この問題に対して効果的に対応するための政策を設計することができるのです。」と、ペドロ・コンセイソンUNDP人間開発報告書室長は述べます。 新報告書は、不平等について考慮する上で、所得格差という旧来の捉え方に囚われず、健康、教育、テクノロジーへのアクセス、経済や気候関連への影響度など、多岐にわたる観点を盛り込んだものになっています。 本報告書では2030年と持続可能な開発目標(SDGs)達成、さらにその先に向けた長期的な視野のもと、実際にどのように不平等が人々の生活に影響を与えているのかを示す新しいデータや手法を用います。平均値に基づく指標ではこれは困難です。 さらにコンセイソンは次のように強調します。「我々は人間開発における収束と拡散を目の当たりにしています。例えば、今日、多くの国で初等教育へのアクセスにおける格差は縮まっています。しかし、幼児教育、および受けている教育の質については貧しい家庭と裕福な家庭に生まれた子どもの間で差が益々広がっています。特に急激な技術革新が起き、労働市場に影響を与えている現代では、この不平等は一生涯にわたる影響を与える結果となるでしょう。これは一つの例にすぎませんが、不平等を考える上では、所得や平均値以外の要素も考慮し、また現時点のみならずその先を見る視点が必要です。」 人間開発報告書はこれまでも、開発を測定する新しい指標を確立し、またWorld Inequality Lab、ルクセンブルグのLIS Cross-National Data Centerなどの国際的な専門家たちとの新しいパートナーシップにより、歴史を築いてきました。人間開発報告書2019もその歴史を礎として発行されます。 HDR2019についてはこちらのリンクをご覧ください(随時更新されます)。 報道問合せ先 |